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東京天竺とは、文化学院小説ゼミの有志で始めた同人誌。小説やエッセイ、漫画などを掲載。詳しくはカテゴリ『東京天竺1号』『東京天竺2号』ご覧下さい。


by tokyo_tenjiku

勝手ロック NO.24(甲)

「確信できない」

 こんにちは。今日もまた、書店に置かせてもらうよう、営業しておりました。近いうち、新たな販売店告知できるかと思います。
 
 さて、僕はたまにこんなことを思います。
 100個あるビルの内、1個だけ、
 僕にだけ見えているビルがあるかもしれない、と。
 けれど残りの99個はみんなに見えているから、
「あのビルは見える?」と信頼できる人に尋ねても、
 うん、と答えるし
「じゃあ、あのビルは?」と訊いても、また、
 うん、と返ってきて、なかなか、僕だけの1個に当たらない。
 当たり前のことを訊くなよ、と怒られる。みんな、どのビルも見えるとおりに、存在していると確信している。 
 でも本当に?
 
 もしかしたら1000個はみんなに見えるものだけど、
 1個だけ、違うかもしれないじゃないか。

 バイト先で、なにかと“確信している”男の子がいます。
「あと8分で今日の仕事は終わりだー」とレジの時計を見ながら呟くとその子は誇らしげに自分の腕時計を見ながら「正確には9分12秒です」と言う。生意気な僕は「そっち(彼の腕時計)のほうが狂ってるのかもよ」とガブッとかみついてみる。すると彼はさらに誇らしげに、(ついでにちょっとムッとした声で)「私の時計は電波時計ですから絶対間違ってません!」だってさ。
 
 本当に? 本当に狂うことはないのかい?
「だって電波時計ですよ」
 だから!
 なんで電波時計は絶対に狂わないの? と思う。わかんないじゃんか。電波時計の仕組みなんてわかんないけど、狂わないなんてわかんないじゃないか。
 わかんないのがわかんないって彼は言うけど、
 わかんないのがわかんない、のがわかんないよ!
 と思ったのです。

 僕は確信することが、嫌いなんだと思います。
 みんな、わからないから、みんな、楽しいんだ! と、思う。ます。 

 実は貴方がいつも見ているあの建物も、もしかしたら、貴方にしか見えていない、不思議なビルかもしれない。誰かに確かめてみると、いいかも。
 でも、確かめた相手が「ある」っていっても、その人と貴方にだけ見えるのかもしれない。結局確かめることはできなくて、ずっと世界は、わかんないまま、なんですけど。
 僕だけですか? 変? 絶対に狂わない時計なんて、なんだか、つまらないですよー。

 次回はSUPERCARの楽曲を小説にしまーす。

なお、引き続きお買い上げいただいた方からtokyo_tenjiku@excite.co.jpへのご連絡をお待ちしております。こちらをご覧下さい。

by tokyo_tenjiku | 2010-03-31 19:39 | 勝手にロックンロール