勝手ロックNO.25(甲)
2010年 04月 14日
「咲きっぱなし」
高橋です。毎日色々思います。何も思わない日は無いようです。思ったことを少しでも忘れないように。
電車に親子がいました。
一歳か、二歳か、身近に子供がいないのでわかりませんが、ベビーカーに乗せられた少女を、
ドアのそばで、夫婦があやしていました。夫婦は荷物が少しある。奥さんはリュックを背負っていて、片手には少女の好きなものなのでしょう、ぬいぐるみを持っていました。旦那さんも丸い鞄を背負って、片方の手に紙袋をぶら下げ、もう片方は、ベビーカーのハンドル。
荻窪に電車が停まると席が空き、旦那さんは奥さんを席へと促がしました。
奥さんは旦那さんがぶら下げていた荷物をうけとり、そのまま、空いた席に座ろうとします。
すると大人しかった少女が途端に泣きだす。
「ママ、いかないで。ママどこいくの」
ベビーカーが寄せてあるドアと平行にある席に奥さんが座ろうとしたために、手すりが壁になり、少女の視界から母親が消えたように見えたのだと思います。
座ろうと思ったママ、は、即座に席を立ち、少女の前に戻ります。ベビーカーの前で屈んで、静かに、
「ママどこにもいかない。ここにいるよ」
旦那さんは奥さんと娘の様子を見て、深い息をつくと、ベビーカーから手を離し、空いた席に座りました。奥さんの持っていた荷物を手に取り。
駅をいくつか過ぎて、
しばらく、
僕の脳みそから、心の方へ、ひとしずく、
「いかないで」と「どこにもいかない」が、
静かに落ちて、
波紋を広げるように、
流れる景色と溶け込んで、
僕は思い出します。
昔、同じだった。今も成長していません。
離れることに耐えられない。
一年間半ほど、同じ場所で働いた友人が昨日を最後に、辞めてしまいました。
たくさん。
話をしました。
居酒屋や。仕事の終わりに。映画に行った。焼肉。東急ハンズとか。カラオケで先輩が歌を歌っているのをよそに。新宿から東京駅に向かう電車の中。
電話をかけたり。
桜の下とか。
まるで恋人のような。そんなことはないのだけど。
それでも優しい人だったから。
僕はよく甘えました。
世間が、出会いと別れを繰り返して大人になるのだと告げようと、
社会が人は流れていくものだと、時間を流してしまおうと、
咲いた桜が、必ず散ろうと、
僕は、出会った人とは出会いっぱなし、がいい。な。
エネルギーの無駄遣いで、環境に悪かろうが、出会ったままでいられるのなら、ずっと、であいっぱなし。で、いたい。
「いかないで」
「ここにいるよ」
まるで母から千切れた子供のように、
僕は、あらゆる繋がりと別れられない。
あぁ、僕は、
いつまでも、
いつまでも、甘えん坊。
だからね、
作家になって本を売るから、
千切れてしまったみんなは、
僕の本を手にとって、
また、
作り話に、花を咲かせようよ。
次回はthe pillowsの楽曲を小説にします。
なお、引き続きお買い上げいただいた方からtokyo_tenjiku@excite.co.jpへのご連絡をお待ちしております。こちらをご覧下さい。
高橋です。毎日色々思います。何も思わない日は無いようです。思ったことを少しでも忘れないように。
電車に親子がいました。
一歳か、二歳か、身近に子供がいないのでわかりませんが、ベビーカーに乗せられた少女を、
ドアのそばで、夫婦があやしていました。夫婦は荷物が少しある。奥さんはリュックを背負っていて、片手には少女の好きなものなのでしょう、ぬいぐるみを持っていました。旦那さんも丸い鞄を背負って、片方の手に紙袋をぶら下げ、もう片方は、ベビーカーのハンドル。
荻窪に電車が停まると席が空き、旦那さんは奥さんを席へと促がしました。
奥さんは旦那さんがぶら下げていた荷物をうけとり、そのまま、空いた席に座ろうとします。
すると大人しかった少女が途端に泣きだす。
「ママ、いかないで。ママどこいくの」
ベビーカーが寄せてあるドアと平行にある席に奥さんが座ろうとしたために、手すりが壁になり、少女の視界から母親が消えたように見えたのだと思います。
座ろうと思ったママ、は、即座に席を立ち、少女の前に戻ります。ベビーカーの前で屈んで、静かに、
「ママどこにもいかない。ここにいるよ」
旦那さんは奥さんと娘の様子を見て、深い息をつくと、ベビーカーから手を離し、空いた席に座りました。奥さんの持っていた荷物を手に取り。
駅をいくつか過ぎて、
しばらく、
僕の脳みそから、心の方へ、ひとしずく、
「いかないで」と「どこにもいかない」が、
静かに落ちて、
波紋を広げるように、
流れる景色と溶け込んで、
僕は思い出します。
昔、同じだった。今も成長していません。
離れることに耐えられない。
一年間半ほど、同じ場所で働いた友人が昨日を最後に、辞めてしまいました。
たくさん。
話をしました。
居酒屋や。仕事の終わりに。映画に行った。焼肉。東急ハンズとか。カラオケで先輩が歌を歌っているのをよそに。新宿から東京駅に向かう電車の中。
電話をかけたり。
桜の下とか。
まるで恋人のような。そんなことはないのだけど。
それでも優しい人だったから。
僕はよく甘えました。
世間が、出会いと別れを繰り返して大人になるのだと告げようと、
社会が人は流れていくものだと、時間を流してしまおうと、
咲いた桜が、必ず散ろうと、
僕は、出会った人とは出会いっぱなし、がいい。な。
エネルギーの無駄遣いで、環境に悪かろうが、出会ったままでいられるのなら、ずっと、であいっぱなし。で、いたい。
「いかないで」
「ここにいるよ」
まるで母から千切れた子供のように、
僕は、あらゆる繋がりと別れられない。
あぁ、僕は、
いつまでも、
いつまでも、甘えん坊。
だからね、
作家になって本を売るから、
千切れてしまったみんなは、
僕の本を手にとって、
また、
作り話に、花を咲かせようよ。
次回はthe pillowsの楽曲を小説にします。
なお、引き続きお買い上げいただいた方からtokyo_tenjiku@excite.co.jpへのご連絡をお待ちしております。こちらをご覧下さい。
by tokyo_tenjiku
| 2010-04-14 22:16
| 勝手にロックンロール