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東京天竺とは、文化学院小説ゼミの有志で始めた同人誌。小説やエッセイ、漫画などを掲載。詳しくはカテゴリ『東京天竺1号』『東京天竺2号』ご覧下さい。


by tokyo_tenjiku

勝手ロックNO.30(甲)

「Lv.25」

 僕の半分は“やさしくなりたい”でできています。高橋です。
 数日前の誕生日を過ぎて、僕はとうとう25歳になりました。
 四捨五入したら、30歳でございます。
 先日サッカーワールドカップ、カメルーン戦で本田圭佑選手がゴールを決めたわけですが、なんと彼、僕と誕生日が一緒でした(けいすけという名前まで同じ)。しかも、一つ年下という。同じ時を歩んでいたという。
 ぬはっ! 焦燥感!
 あぁ、みんなどうやって、Lvをあげているの?
 スライムは、どこにいるの?
 年下の、レベルの上がる音が聞こえても、
 別の誰かがイベントをクリアしていても、
 僕は未だにLV.25、
 万人に与えられた、「時間」だけ、もらうばかり。
 ある時は目に見えない魔物にやられ、最初から。
 ある時は誰が見ても気づくようなトラップに引っ掛かり、最初から。
 そのつどそのつど、いったい、どれだけの経験値を得たのかが、わかりません。
 それでも読んでいたり、書いていたり、しているのです。
 僕は、なんとか冒険を続けたいのです。

 最近は、太宰治と星新一でレベル上げをしています。
 日曜日に、星新一展に行きます。最終日です。混んでいないといいな。
 星新一さんは、東京天竺創刊号でも取り上げたので、
 ツイッターで、星新一なう! とか書いてやろう、と、もくろんでいます。

 レベルが上がるかはわかりませんが、本を読むのは、それだけ、考えるので、いいですね。
 太宰治の、「東京八景」(新潮文庫の「走れメロス」に収録された一遍)は、
 彼を知る一番いい小説かもしれません。
 それによると、
「晩年」(処女作「思い出」収録 新潮文庫)という初期創作集は、彼の毒を洗いざらいぶちまけた、遺書なんだってさ。
 暗くて、死にたがりの彼が書くものは、一見、近寄りがたくて、読んだら傷が残りそうだけど、
 どんな人でも持っている、見えない何かを、震わせます。

 来週はユニコーンの楽曲を小説にします
by tokyo_tenjiku | 2010-06-23 22:48 | 勝手にロックンロール