東京天竺とは、文化学院小説ゼミの有志で始めた同人誌。小説やエッセイ、漫画などを掲載。詳しくはカテゴリ『東京天竺1号』『東京天竺2号』ご覧下さい。


by tokyo_tenjiku

第15回突撃!隣のフェティシズム/『フレット』

『フレット』キリシマ ユウ




ウッドベースを弾く男性の、指関節がたまらなく好きだ。
できれば、40以上の男性がいい。
手慣れた様子で楽器をだき抱え、背骨のようなフレットに片手を置き、もう片方の指で弦をつま弾く。


楽曲の根幹をしっかりと支え、脈を整えつつも、上に乗る者が気持ちよく演奏できるように、あるときはしっとりと、あるときはうねるように、リズムを刻む。そして、その合間に他のどのパートでも真似できないようなオカズリズムを挿入する。


どんなウッドベースプレーヤーでも良い訳ではない。
ウルトラテクニシャンでひたすら弾き倒すようなオヤジは好みではない。
かといって、ひたすらストレートにエイトで歩んでいくかっちりとした封建的で賭けをしないプレーヤーも、物足りない。


楽曲の要所で、「ぶーーーーーん」という低音を響かせつつ、するりとフレット上を長距離移動していく殿方が好ましい。
そして、フレット間を移動している間に時折洩れ聞こえる「キュキュ」という音に、心ならずも、心奪われてしまう。


音と音の間に存在する、音未満の音。何かと言われると音なのだが、音として存在するわけではない、音。
この狭間に存在する「きゅきゅ」が、私のフェティシズムなのである。





【次回ゲスト紹介】

「お目目ぱっちりの少女漫画から飛び出して来たような容姿だが、紡ぐ言葉はおっとこ前なエリコムリ。ある意味、存在自体がフェテッシュです。」

次回更新日は、10月1日です。
[PR]
by tokyo_tenjiku | 2010-09-17 01:20 | 突撃!隣のフェティシズム