勝手ロックNO.32(乙)
2010年 07月 28日
「街に怪獣がいたら眠れない」
PM 11:45
君はまるで怪獣のようだ。僕の頭の中にある誰もいない市街地に、がおう、がおうと現れて、がしゃん、がしゃんと街を踏み潰していく。たとえば君の何気ない一言は、僕の発電所を小石のように蹴り飛ばすので、僕の思考回路を成り立たせていた電気信号はあっという間にシャットダウンし、大停電の中、それでも君は我が物顔で侵略を続ける。またある時は海の中から寝ぼけた態度で飛び出してくるので、洪水が起こり、僕の脳内にある精密機械が水浸しになる。君は、まるでそんなことなど知らん顔で、僕と目が合うたびに笑う。魔性の女め。
AM 0:21
「誰もいない夜の街を、走りまわってみたい」
君のそんな願望が僕の頭にこんな比喩を巡らせた。いつでも君は駆けまわっている。僕の中にある街を。そこには僕すら見当たらず、ただ君だけが、騒いで壊して、はしゃいでいる。誰も知らないし誰も見えない街に、君は毎晩どこからか訪れる。全くもって憎らしい。
AM 0:22
だけど完全に愛らしい。
AM 2:03
怪獣は英雄か、あるいは怪獣と戦う。それで、主役のほうが勝利者というのが世間の図式だ。さて君は、僕の中で誰と戦い、主役になるのか、敵役になっているのか。
AM 2:35
適当な比喩をまた持ち上げるとすれば、怪獣である君の対戦相手は僕の感情だろう。
本当にくだらない、途方もなく情けないことで僕は嫉妬をしたりする。その度に僕は、僕自身を殺したくてたまらない。
AM 2:49
片思いもそれはそれで楽しいのだと、友人の子は言っていたが冗談ではない。僕は死にたくなる。そういった僕の感情が怪獣だとしたら恐ろしく醜いフォルムだろう。足が百本あるとか、眼が二百個あるとか、そんな感じだ。君はその醜い怪獣、シットンとかいう感情の怪獣と、毎回毎回海から現れて、戦う。僕の頭の中で、君の幻影と、僕の分身が、血生臭い決闘を繰り返す。
AM 3:42
不思議な話だ。
街を壊すのも君で、醜い感情を産むのも君だけど、嫉妬怪獣シットンを殺すのも君なのだ。恋はあまりにも面倒くさい。限りなくやるせない。
AM 4:13
君の頭の中の街で、僕は息をしているのだろうか、と考える。僕は君の街を壊しているのだろうか。それとも、君の街を壊す誰かは別にいて、僕なんかは、小鳥よりも小さな虫みたいな存在なのだろうか。破壊は痛みを伴うはずなのに、僕が君の街でしていることが、現実の僕のように限りなく影響力の無い存在であるのなら、いっそのこと君の街を壊していたい、と思う。
AM 4:55
少なくとも、君の街では、現実の僕ほどの希薄な存在感でないことを願う。
AM 5:00
君の街で僕も怪獣でいたいと思うことは、片思いが楽しいという感覚に似ているのかもしれない。君に悩まされているのに、どれだけのことをされようとも許してしまう、この感覚に。
AM 5:13
僕も君の街へ行きたい・・・・・・。
AM 6:00
気づくと外は、白んでいた。
PM 11:45
君はまるで怪獣のようだ。僕の頭の中にある誰もいない市街地に、がおう、がおうと現れて、がしゃん、がしゃんと街を踏み潰していく。たとえば君の何気ない一言は、僕の発電所を小石のように蹴り飛ばすので、僕の思考回路を成り立たせていた電気信号はあっという間にシャットダウンし、大停電の中、それでも君は我が物顔で侵略を続ける。またある時は海の中から寝ぼけた態度で飛び出してくるので、洪水が起こり、僕の脳内にある精密機械が水浸しになる。君は、まるでそんなことなど知らん顔で、僕と目が合うたびに笑う。魔性の女め。
AM 0:21
「誰もいない夜の街を、走りまわってみたい」
君のそんな願望が僕の頭にこんな比喩を巡らせた。いつでも君は駆けまわっている。僕の中にある街を。そこには僕すら見当たらず、ただ君だけが、騒いで壊して、はしゃいでいる。誰も知らないし誰も見えない街に、君は毎晩どこからか訪れる。全くもって憎らしい。
AM 0:22
だけど完全に愛らしい。
AM 2:03
怪獣は英雄か、あるいは怪獣と戦う。それで、主役のほうが勝利者というのが世間の図式だ。さて君は、僕の中で誰と戦い、主役になるのか、敵役になっているのか。
AM 2:35
適当な比喩をまた持ち上げるとすれば、怪獣である君の対戦相手は僕の感情だろう。
本当にくだらない、途方もなく情けないことで僕は嫉妬をしたりする。その度に僕は、僕自身を殺したくてたまらない。
AM 2:49
片思いもそれはそれで楽しいのだと、友人の子は言っていたが冗談ではない。僕は死にたくなる。そういった僕の感情が怪獣だとしたら恐ろしく醜いフォルムだろう。足が百本あるとか、眼が二百個あるとか、そんな感じだ。君はその醜い怪獣、シットンとかいう感情の怪獣と、毎回毎回海から現れて、戦う。僕の頭の中で、君の幻影と、僕の分身が、血生臭い決闘を繰り返す。
AM 3:42
不思議な話だ。
街を壊すのも君で、醜い感情を産むのも君だけど、嫉妬怪獣シットンを殺すのも君なのだ。恋はあまりにも面倒くさい。限りなくやるせない。
AM 4:13
君の頭の中の街で、僕は息をしているのだろうか、と考える。僕は君の街を壊しているのだろうか。それとも、君の街を壊す誰かは別にいて、僕なんかは、小鳥よりも小さな虫みたいな存在なのだろうか。破壊は痛みを伴うはずなのに、僕が君の街でしていることが、現実の僕のように限りなく影響力の無い存在であるのなら、いっそのこと君の街を壊していたい、と思う。
AM 4:55
少なくとも、君の街では、現実の僕ほどの希薄な存在感でないことを願う。
AM 5:00
君の街で僕も怪獣でいたいと思うことは、片思いが楽しいという感覚に似ているのかもしれない。君に悩まされているのに、どれだけのことをされようとも許してしまう、この感覚に。
AM 5:13
僕も君の街へ行きたい・・・・・・。
AM 6:00
気づくと外は、白んでいた。
by tokyo_tenjiku
| 2010-07-28 23:25
| 勝手にロックンロール